クイーンメリー2 大阪来航

海の宮殿にご対面

前記事では柄にもなく偉そうなことを書いてしまったので少々疲れました。
ということで今日は船の話です。それも世界トップクラスの豪華客船を見に行った話であります。このところ緊張続きの皆さんにも一息ついていただこうとアップしましたが、「海の宮殿」と異名をとる巨船も今回の津波とは無縁ではいられなかったようであります。


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▲QUEEN MARY 2  人呼んでQM2(キューエムツー)

船の名はQUEEN MARY 2。イギリス、キュナード社が運航する世界最大級の豪華客船であります。なんと、総トン数約150,000トン、全長345mというとてつもなくでかいメガシップであります。
名前からわかるとおり、かつての豪華客船の代名詞QUEEN ELIZABETH 2(QE2)の後継船にあたります。

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▲地下鉄大阪港駅の案内表示

3月10日 8:00入港、23:59出港というスケジュール。妙に半端な出港時間が引っ掛かりますね。多分 0:00を過ぎると係船料がアップするからだと思われます。世界一の豪華客船にしてはセコイ考え方に大いに親しみを感じます。

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▲マストがなければビルですよ!

駅を出て天保山客船ターミナルの方を見ると、ご覧のようにドカーンという感じで視野に飛び込んできました。まるで一夜にして新しいビルが出現したかのような光景に詰め掛けた見物客からは早くも喚声が上がっております。

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▲QM2の全貌

まずは大阪港での客船撮影の定石どおり市営渡船で対岸の桜島岸壁へ。
ここでようやく彼女の全貌を見ることができるわけですが、やっぱりデカイ! 海遊館が隠れてしまってます。しかし、そのフォルムはあまりにグラマラス。メタボであります。はっきり言うと不細工な船・・・。先代QE2と較べるべくもありません! ああ、ショック。

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▲こちらはQE2

そこで、QE2が’07年3月に来航した際の姿をご紹介しましょう。
ほぼ同じアングルです。古いデジカメなのでえらい画質ですが、優美なシルエットはおわかりいただけると思います。大きさの違いも観覧車と比較すると一目瞭然かと。
ちなみにQE2は・・・総トン数約70,000トン、全長294m です。

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▲ブリッジ周り

メタボな女王様ですが、ブリッジ周りのデザインは先代同様なかなか優美な仕上がりのようです。
しかし、このあたりも非常にボリューム感がありイージス艦のブリッジを思わせます。

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▲寸詰まりのファンネル

許せないのはこのファンネル(煙突)。すらりと伸びたQE2のものをブッタ切ったようなデザインです。おそらくこれ以上高くなると航行上支障があるのでしょうが・・・。

実は、今回の大阪寄航にはこの高さが関係しているようです。QM2の日本来航に際しては大阪港と横浜港が熾烈な争奪戦を演じた結果、開港150年の目玉にと横浜が誘致に成功。’09年、’10年と横浜に寄航しております。
ところが、この高さゆえ横浜ベイブリッジをくぐって大桟橋客船ターミナルに着岸できず、貨物用の大黒ふ頭に着岸。これが利用客の不満をかい、今回は晴れて大阪港に寄航とあいなったようです。

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▲船上カメラマンのワンショット

帰りの渡船上からもカメラを構えますが、今回の寄航は事前にマスコミが大きく報道したためか過去の客船寄航時と比べ物にならないほどの人出で渡船も積み残しが出る始末。なんとか乗り込んだものの舷側には近付けず船上からのショットも渡船の屋根が写り込んでしまい思いっ切りトリミング。このアングルならメタボな彼女もそれなりに写るんですが。

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▲真正面から

舷側に大きく張り出したブリッジが印象的です。図体がデカイので見張りの視界確保もたいへんなのでしょうね。

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▲側面のようす

ここからは天保山客船ターミナルから。
ずらりと並んだ救命ボート、規則正しく連なる舷窓がいかにも大型客船という感じです。
QM2には船客約2600名、乗員約1200名が乗り込んでいます。

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▲でっぷりした船尾

船尾の様子です。失礼ながら下半身デブであります。曲線と直線が入り交じる特徴的なスタイル。
船籍港はSouthampton。イギリスの伝統的な客船ターミナル。かのTITANICもここから出港したのでありました。
余談ですが、TITANICの救助に駆け付けたCARPATHIAもQM2と同じキュナードの船でした。

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▲ギャングウエイ

Queen Mary 2, World Voyage 2011 の文字が。

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▲はたらくクルマたち 高所作業車(左) ポンプ車(右)

停泊中も様々な作業が行われていました。
高所作業車は多分航海灯のメンテをポンプ車は窓の洗浄作業を行っています。

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▲はたらくクルマたち②

船客用のアクティビティツアーや市内ターミナルを結ぶシャトルバスは日本交通が担当したようです。従来この種の貸切バスはヤサカ観光やKM観光が常連でしたが、今回は地元(弁天町)日交が射止めたようです。

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▲サンタマリア

映画ナルニア国物語とコラボ中のサンタマリア。今日はQM2特需でホクホクの様子。

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▲青雲丸

中央突堤には航海訓練所の練習船青雲丸(5890総トン)が。
例年この時期には大阪港に姿を見せています。


さて、QM2は3月10日深夜、無事大阪を出港したようですが、次の寄港地長崎を目前にして大地震が発生。長崎県地方にも津波注意報が発表されたのを受けて長崎寄航をキャンセルしたとのことです。
なお、来年3月にも大阪、長崎への寄航が決まっております。来年こそ無事両港でQM2を迎えられることを祈らずにはおられません。


この記事を書いていて思いました。東日本大震災の被災者向けに船を使えないかと。こんな豪華船はともかく、フェリーや客船は調達できるでしょう。このところ国内航路は休止が相次ぎ各地で船が余っているはずです。自力航行できなくとも船内の給電さえできればタグボートで引っ張ってやればいいわけで。仮設住宅の完成なんて何時のことになるやら。もちろん岸壁が復旧し、津波の怖れがなくなってからとなりますが。現状の避難所生活から脱却するには手っ取り早い策かと思いますが。


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富山夏の旅 ②ポートラムと県営フェリー

ポートラム&万葉線周遊ルート

今日から旅の迷友オヤジ2号が合流します。加えて途中からオヤジ2号の取引先の営業所長氏がゲスト参加と賑やかな旅になりそうです。

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▲今日は18きっぷでスタート

ホテルロビーで2号と落ち合い既にフルパワーで照りつける太陽を浴びながら金沢駅へと向かいます。今日は予定どおり18きっぷが活躍することになりそうです。

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▲223Mは懐かしの急行色(富山)


◆223M(金沢ー富山)

8:50発の富山行き223Mは475系。敦賀ー富山間を走る今時貴重な長距離鈍行です。それも懐かしい急行色! 「ゆのくに」、「立山」のヘッドマークを付けたくなります。60ヘルツ用を表す裾の帯まで復元されています。昭和のオヤジ二人、朝からテンション上がっております。
ガラガラで倶利伽羅峠を越えますが、富山県に入ると富山に向かう人々で徐々に混雑していきます。砺波平野の散居村の光景が富山を走っていることを印象付けます。9:45、高架工事でごった返す富山駅に到着。

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▲今日のポートラムはイエローグリーン(富山駅北)


◆ポートラム(富山駅北ー岩瀬浜)

クランク状に折れ曲がった陸橋を通り北口へ抜けポートラムの富山駅北で10:00発の電車を待ちます。今日は沿線で競輪が開催されるようでそれ風の乗客で賑わっています。途中からもどんどん乗車があり混み合って来た頃下奥井から所長氏が乗り込み無事落ち合います。この所長氏、われわれの行動に相乗りを希望されたことから只者ではないと思っていましたが、話を聞いていると筋金入りの鉄チャンでした。お陰で詳細な沿線情報を聞きながらの乗り鉄となったのでした。
10:24岩瀬浜着。

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▲きときとバスとは言いながら・・・(岩瀬浜駅前)


◆きときとバス(岩瀬浜ー新港東口)

さて、今日の見せ場はここからです。土日祝日に限りポートラム~万葉線を周遊できるよう岩瀬浜ー新港東口間に“きときとバス”(射水市コミュニティバス)ライトレール接続線が運転されています。このバスを使い新港東口で県営フェリーに乗り継ぐとポートラムと万葉線を一度に乗ることができ盲腸線である両線をいちいち往復せずにすむわけですな。でも1日3往復しかなく今日のスケジュール設定はこのバスを優先して組み立てました。
10:30発の第一便に乗り込みます。

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▲きときとバスはボロボロバス

せっかくの休日限定路線ですが、乗客はわれわれ3人だけ。ドライバーが歓迎してくれたはずです。
ところで富山地鉄観光が運行するこのバス、小型の貸切車を転用したもののようですが、車内は薄汚れシートはガタガタ。ドライバーはガムテープで貼り付けた運賃表がずり落ちるのを終始気にしています。“きときと(新鮮)バス”は看板倒れのようです。
所長氏から富山地鉄射水線の廃線跡の解説を聞きながら貸切状態でバスは走ります。途中のバス停で乗客が手を挙げますがドライバーは後を指差し通過します。このライトレール接続線は運賃が500円均一で設定されているため後続の一般路線バスに乗るよう親切で指示しているのかと思いました。後に調べたところこの路線は一般路線バスとの競合を避けるため新港東口行きは岩瀬浜を出ると降車しか認めていないことが判明しました。(反対方向は乗車のみ)
10:56新港東口着。

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▲県営フェリー堀岡乗り場


◆富山県営フェリー(堀岡ー越ノ潟)

バスを降りると目の前が県営渡船(フェリー)堀岡乗り場でした。これなら余所者も迷う心配はありません。次の出港は11:05、越ノ潟まで770m、わずか5分のショ-トクルーズであります。短距離とはいえこのフェリー、無料で利用できます。フェリーが結んでいる堀岡、越ノ潟両地区は元々地続きだったものの富山新港開削にあたり分断された経緯によるもののようです。

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▲県営フェリー「こしのかた」(46総トン)

そもそも道路の代わりというだけに運航スケジュールは昼間でも30分間隔。深夜時間帯もタクシーの代走ながら1時間ごとに運航されています。
大阪市の天保山渡船を思い出しますが、もともとの生い立ちが少々異なるようです。

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▲「こしのかた」のキャビン

11:05発の便に乗り込んだのはまたまたわれわれ3人のみ。乗組員の方が多い状態です。ちなみにフェリーとはいいながら人間以外に乗船できるのは自転車と原付バイク程度で自動車は乗れません。
船内はというとご覧のようにオールロングシートです。まあ、わずか5分ですからこれで十分でしょう。

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▲工事中の新湊大橋 左手橋脚の袂には海王丸のマストが

奮闘する県営フェリーですが、終焉の時が迫りつつあるようです。現在、臨港道路富山新港東西線なる道路の工事が進んでおりご覧の新湊大橋が港の東西を再び地続きにする予定です。完成は2010年代前半と今のところ未確定ですが、開通すると歩行者もエレベータを介して専用通路にアクセスできるようになります。その時点でフェリーは廃止されるようです。

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▲富山新港を往く

「こしのかた」は静かに出港し富山港を横切っていきます。富山港といってもあまり馴染みがありません。正式には伏木富山港というそうで伏木、新湊、富山の3地区から構成されています。今航行しているのはその中でも中核ともいうべき新湊地区。3万トンはありそうな鉱石運搬船も停泊しており中々大規模な港のようです。

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▲越ノ潟側から見た新湊大橋

わずかな時間でしたが、日頃経験することの少ない船の旅にオヤジ3人大はしゃぎであります。所長氏も「地元にこんなところがあったとは!」とクルーズを満喫している様子。苦労してスケジュールに入れ込んだ甲斐がありました。
11:10、無事越ノ潟に上陸です。この後は万葉線に乗って高岡名物のB級グルメを食べに行きます。

ということで「暑中お見舞い申し上げます」に掲載した画像は富山県の新湊大橋でした。正解した方いらっしゃいますか?

◆新湊大橋主要データ(国交省伏木富山港湾事務所HPより)
 主径間:360m 主塔高さ:127m 海面から桁までの高さ:47m

◆今回利用した「ポートラム~万葉線周遊ルート」については >>>こちら(pdf)

ロイヤルプリンセス大阪に寄港

春のクルーズシーズン到来!

昨春は不作だった大阪港の春のクルーズ船寄港スケジュールですが、今年はまずまずのようです。
好天に誘われて大阪港・天保山客船ターミナルへ出かけました。

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▲天保山に接岸したロイヤルプリンセス

今回入港したのはイギリス・プリンセスクルーズのロイヤルプリンセス(ROYAL PRINCESS)。
107日間世界一周クルーズの途上大阪に寄港しました。故ダイアナ妃が命名したとか。

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▲桜島側からのサイドビュー

いつものように天保山渡船で対岸桜島に渡ります。凪いで見えますが、けっこう風が強く揺れました。桜島からは船のサイドビューを撮影することができます。
ところが今日は妙な船が船腹に張り付いています。水か油を補給しているようです。

ロイヤルプリンセスは総トン数30,200トン、全長180m。100,000トンを超え300mもの船体を持つ船が相次いで出現している今日では中型の客船です。

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▲海賊船ではありません

遊覧船「サンタマリア」との出会いです。
京阪グループの大阪水上バスが運航しています。

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▲今日の大阪港は賑やかです

ロイヤルプリンセスの他にも、航海訓練所の練習船「青雲丸」や国際フェリーターミナルには上海航路の「蘇州號」(上海国際フェリー)も見えます。 

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▲海遊館前に接岸しているのは

愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」です。2001年アメリカ海軍の潜水艦に衝突され沈没した同名の船の後継船です。

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▲渡船の上から

30分後の渡船で折り返し揺れる船上から激写します。ちょうど作業を終えた補給船が離れていきます。もう少し粘れば良かったかな。

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▲同じく船上から

このアングルは船上からでないと撮影できません。足を踏ん張り必死にシャッターを切ります。

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▲ロイヤルプリンセスの顔

こんなアングルも船上からしか狙えません。
最近の客船はブリッジの上にも何層もの構造物が乗っかっています。おまけに断面が四角くてビルが浮いているようです。クイーンエリザベス2のスマートな船体が懐かしい。

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▲船尾とゴミ収集車

この船は2001年の竣工ですが、2007年に大規模な改造を行っています。優美な曲線を描いていた船尾もこんな風になってしまいました。船籍はイギリスではなくバミューダのハミルトンです。
航海中に発生した大量のゴミを下していきます。

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▲プリンセスクルーズのファンネルマークとギャングウエイ

煙突のデザインも変わったようです。
本船が接岸している岸壁は柵で遮られ一般の人は立ち入り禁止。空港の国際線エリアと同じです。

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▲えひめ丸

甲板が岸壁から少し顔を出す程度の船体。499トンの船です。

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▲宇和島水産高校の英文表記とファンネルマーク

水産高校ってこう書くんですね、勉強になりました。


次は今月31日に7.7万トンのドーンプリンセス(DAWN PRINCESS)が入港します。