夏の18切符 2011 東福寺~綾部

18切符がピンチです

8月も下旬のある日、早朝からメールが着信「舞鶴で軍艦見て、海軍カレーを食べよう」と誘っております。生憎午前中に用事がありますが、時刻表を紐解くと護衛艦見物は無理としてもどうにか往復することは可能。東舞鶴駅で落ち合うこととします。
私もちょうど夏の18切符の消化に腐心していたところであります。

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▲8月29日にしてようやく1回目の捺印

用件を済ませ、京阪電車で東福寺へと進みJR奈良線へ。やっと18切符に1回目のスタンプを受けます。ところが、ホームに降りると妙に人が多い。すかさず放送が入り「山城多賀駅でのお客様同士のトラブルにより各列車とも遅れて運転を・・・」。乗客同士のトラブルって? 帰宅後夕刊を見るとこのことが記事になっており要約すると次のような内容でした。「車内で50歳代の男性と中高生と見られる乗客が足が当たったかどうかで言い争いになった。同駅は無人駅のため乗務員が指令センター経由で警察に通報した。警察官が到着するまでの約50分間同線は運転を見合わせた」とのこと。
下らんことで喧嘩する客も客ですが、これだけのことで50分間も麻痺する脆弱な鉄道システムもどうですかね。相次ぐ合理化で人が消えた鉄道現場。営業体制は機械でも維持できるのでしょうが、なにかことが起きるとこのザマですわ。


◆山陰本線快速2211M(京都13:07-13:43園部)

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▲私鉄のターミナルのような京都駅嵯峨野・山陰線乗り場

出足を挫かれ面白くありませんが、私の場合被害は軽微、すぐに京都行が到着しほぼ予定どおり京都駅に辿り着きます。
構内南端の奈良線ホームから北端の嵯峨野・山陰線乗り場へと移動です。次の電車は32番線からの発車です。32番線なんていうとずいぶん大きな駅のように思いますが、実はインフレナンバーです。10番台は11~14を新幹線が使用し後は空番。20番台はそっくり空いていて次がいきなり30番線になっています。

※山陰線乗り場がいきなり30番台に飛んでいる理由が判明しました。サンイン線に因んでサンジュウ番にしたそうです。本日、関西テレビが報じておりました。(平成24年6月5日加筆)

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▲嵯峨野線のラインカラーは紫

目指すは13:07発の快速園部行。嵯峨野線はいつも混んでるという印象があるので今日は余裕を見て20分前にスタンバイです。
隣の33番線には先発の普通亀岡行が停まっていますが、その221系を見てびっくり。塗装がボロボロに剥がれてしまっています。上の写真でも分かりますが、窓の下が特に酷い。パテも含めて完全に剥離している部分も。なんとも痛々しい限りです。末期の九州ブルトレを思い出しました。

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▲2211Mは221系の4連

12:51に到着した快速園部行は同じく221系4連ですが、幸いペンキは剥がれてないようです。
早くから待機していたお蔭で席も選り取り見取り。今日は進行右側の席を選びました。
発車する頃にはほぼ席を埋め13:07、園部に向け出発します。

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▲円町手前で西大路をクロス

右側の席を選んだのは京都市街の景色を見るため。市街地の西側を進む嵯峨野線の京都よりは近年連続して高架化されており京都の街をぐるりと眺めることができるんです。
京都タワーが後方に消えていき円町の駅が近付くと西大路通りをオーバークロスします。その先には左大文字が。大学時代、西大路を行くバスからこの光景を見たとき京都の大学に来たことを実感したものでした。そのころ円町なんて駅はありませんでしたけどね。

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▲保津峡の流れをちらりと見ながら

右手遠くに仁和寺の五重塔を、左手すぐに東映太秦撮影所を見ながら進んで行きます。
市街地も尽きた嵯峨嵐山を出ると次なるビューポイントが。トンネルを抜けるといきなり保津峡が現れます。息を呑んで眺めていると無情にも次のトンネルへ。これを何度か繰り返します。こんな風に保津峡付近の線路はトンネルルートに付け替えられましたが、これもありかなと。究極のチラリズムです。  
盆地に出た亀岡から各駅停車になり、すっかり鄙びた風景の中13:43、園部に到着です。


◆山陰本線1135M(園部13:46-14:49綾部)

園部では恒例の列車乗り継ぎ。3分連絡の福知山行は隣の1番線で待機しています。もちろん223系の2両編成。ドアが開くなり快速からどっと乗り継ぎ客が移動します。先頭車に乗っていた私は出遅れながらもなんとか着席、山陰本線を北上します。

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▲下山で特急「きのさき16号」を待ち合わせ

園部からは単線となった線路をワンマン列車はのんびりと走ります。
途中鍼灸大学前で停まったきりなかなか動きません。先頭では運転士と二人の乗客がなにやら鳩首協議中。どうやらイレギュラーな精算が発生した様子。しばらくして運転士は連絡票のようなものを記入して二人に渡しやっと解決。この間約3分、電車は棒線上のちっぽけな駅に停まっておりました。
精算業務に追われる運転士もたいへんだなと思っていると次の胡麻でまたまたトラブル。学生風の二人組みが新大阪から適当な乗車券で乗り込み精算額を運転士に尋ねている様子。運賃掲示には京都以降の金額しか表示されていませんから。すると運転士が手に取ったのは列車無線でした。奈良線のダイヤ混乱もあってかやっと通じた無線で精算額を確認するまで数分間。学生風は何度も「お手数かけました」と恐縮しながら降りていきました。彼らに悪気はなく慣れない遠出に券売機で当座の乗車券を買ってしまったのでしょう。全国ネットのJRの列車にバス式の精算システムを当てはめていることに無理を感じます。
先程の山城多賀駅の件も含め合理化の綻びがあちこちに現れているように感じられます。
幸いこの駅で特急退避があったためダイヤは傷めずにすみましたが。

続く下山でも特急「きのさき16号」との行き違い待ちですが、すっかり影が薄くなった183系の「きのさき」が3分ほど遅れてやって来たためこちらもその分遅れての発車となりました。

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▲和知付近の鉄橋から

目を車窓に転じましょう。
線路は河岸段丘に沿って敷かれています。川は日本海に注ぐ由良川です。その由良川に合流する支流が幾本もあり列車は鉄橋で越えていきますが、その谷間はかなり深く、中には水面が木立に覆われて見えないものもあり仙山線辺りの渓谷を思わせる景色も見られます。

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▲由良川を渡る(和知ー安栖里)

由良川本流もかなり蛇行しており和知の前後では2度対岸へと渡ります。鉄橋からはゆったりと流れる川面とのどかな集落の光景が見て取れます。向こう岸から列車の進む様を眺めてみるのも一興かも。
隣の席では年配のおばさんコンビが旅談義に夢中です。「私、青春18で熱海まで行ってきてん・・・」とまあ頼もしい。青春18切符も発売開始以来30年近く。すっかり市民権を確立しているようです。

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▲難読駅名「安栖里」

列車は安栖里に到着します。アセリと読みます。ちょっと気になる駅名ですね。でも、駅名とは裏腹に牧歌的な雰囲気が漂います。高校生が一人下車し、駅舎もないホームから駅前広場へと出て行きました。

谷間が開け巨大な斜張橋「新綾部大橋」が頭上を跨ぐと綾部は目前です。

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▲綾部に到着した1135M

右手から舞鶴線が合流、綾部には結局遅れを取り戻せずに14:51頃の到着となりました。すっかり北近畿地区の顔になった287系が迎えてくれます。
舞鶴線に乗り換えるため下車しましょう。

この記事へのコメント

  • ホタルの館

    紫ってほんと京都らしい色ですよね^^
    私的に京都って抹茶色・紫色・あずき色が合うと思います。
    2011年09月07日 03:48
  • まるたろう

    山陰線沿線の景色は、素晴らしいですね。
    園部~綾部間は、10年ほど前に一度通っただけですので、
    今度は18きっぷで、途中下車しながら散策したいです。
    2011年09月07日 07:15
  • manamana

    自分の青春18切符旅とラップしているのが、
    なんだかうれしいです。
    ところで、あと2回分残した18切符、
    このまま記念になってしまう予定です。
    2011年09月07日 08:42
  • あおたけ

    ちょっとトラブル続きの出だしでしたが、
    山陰本線の旅を楽しんでおられるようですね!
    綾部から舞鶴線・・・今夏は私も同じようなルートを通ったので、
    今後の展開が楽しみです。
    2011年09月07日 09:40
  • うたに

    32番線!以前、京都で近鉄から新幹線に乗り換えたことがあるのですが、在来線の方にそんな小ネタがあるとは気付きませんでした(^^;;
    もと新快速の221系も、だいぶくたびれて来ているようですね。
    広島だったら、ガムテープ貼って修繕かしら。。
    2011年09月07日 12:22
  • 飛んでモアイ

    ご存知だと思いますが・・・。
    221系は、国鉄末期の車両ですよ!!
    20年以上走っている戦士ですよ!!
    塗装のハゲぐらいは大目で見てください。
    金の無い会社なもんで・・・。

    今年は、まとまった休みが出来たので、18切符合宿で、
    岩徳線・後藤寺線・日田彦山線(JR九州線完乗)・三江線をまわりました。
    残りのJR西日本線は、山陰本線宍道~江津のみです。
    しかし、JR東海とJR東日本が有るから、
    JR全線の完乗はまだまだ先です・・・。
    2011年09月09日 00:08
  • サットン

    ホタルの館さん

    私も京都らしい色というと紫を思い浮かべます。嵐電の新しい車体色も紫ですね。
    市バスの緑系も京都らしいイメージを受けます。
    2011年09月09日 23:20
  • サットン

    まるたろうさん

    京都府下の山陰線の車窓は地味なイメージがありますが、なかなかどうして見どころ満載です。私は一昨年の冬にも乗りましたが、季節が違うとずいぶん印象が違うものだと痛感しました。
    ただ駅はかなり無人化が進んでいるようです。
    2011年09月09日 23:27
  • サットン

    manamanaさん

    北近畿方面に出かけられたんですよね。今シーズンはこの付近がトレンドなんでしょうか。同じ路線でも人によっていろいろな切り取り方があるもんですね。興味深いです。
    18シースン、残すところ明日だけになりましたが、あと2回分残ってます・・・。
    2011年09月09日 23:33
  • サットン

    あおたけさん

    今回は全く自主性もなく友人の誘いに乗って出かけた次第です。あおたけさんのようにアクティブに行動するでもなく東舞鶴滞在1時間半ほどで折り返しました。ただ帰路はちょっと変化を付けてみましたので続いてお付き合い願えれば幸いです。
    2011年09月09日 23:40
  • サットン

    うたにさん

    京都駅の乗り場の付番、おもしろいですね。かつて一番長いホームとして有名だった1番線が0番線に変わっていたりいろいろネタには事欠かないようです。
    この221系もテープべたべた貼って応急処置が施されていました。検査入場が近いのでしょうがあまりに痛々しい姿に唖然としました。
    2011年09月09日 23:49
  • サットン

    飛んでモアイさん

    221系はJRになってからの登場ですよ。20年そこそこ、103系に比べればまだまだ若造です。大事に使ってもらわないと。
    順調にのりつぶし進行中のようですね。私は各地に少しずつ乗りのこしがありさっぱりはかどりません!生きている間には無理かも・・・。
    2011年09月09日 23:57

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