有馬温泉へは神戸電鉄で!
この夏も旅の迷友“おやじ2号”から宿題を出されました。・・・夏休みの子供じゃあるまいに・・・。
今回は「8月のとある日曜日、10時~17時、大阪起点でどこか面白いところを考案せよ」。
どこか面白いところって、悩みますわ。昨年は「紀州鉄道乗りつぶしコース」が案外好評だったので今年も乗りつぶしを考えてみましたが、時間的に中途半端です。そこで今回は目先を変え温泉へご案内となりました。大阪からの日帰り温泉となるとやっぱり有馬温泉でしょう。温泉情緒も豊かだし2号も満足してくれるだろうとプレゼンしたところ「温泉に入れるなら了」との回答。もちろん外湯もあります!
ということで決行日当日、金沢から遠路はるばる奥方のアッシー君としてやって来た2号が江坂の駐車場にクルマを放り込んだのを確認し、11時に梅田で待ち合わせることに。天気は生憎の雨模様であります。
さて、梅田から有馬温泉というと阪急高速バスが定番中の定番であります。先日ご紹介した大阪駅JR高速バスターミナルからもJRバスが出ております。
でも我々は阪急電車に乗り込みます。有馬温泉まで970円の乗車券を握りしめ11:00発、特急新開地行の車中の人に。
車窓に寄り添う六甲山も半ば雲に隠れております。が、我々はその六甲の山並みを越えて行こうというのであります。
11:35、神戸高速鉄道に入って新開地に到着。
▲新開地からはいよいよ神鉄の出番
地下2階のホームから1フロア上がるとコンコースが広がり、その奥に神戸電鉄のホームが並んでいます。とはいえここはまだ神戸高速鉄道の領分でありますが・・・。
さあ、今日はどんな電車に当たるのでしょうか。クラシックな神鉄顔? ウルトラマンこと3000系? とわくわくしていると自称B級グルメ評論家の2号が名物「高速そば」の暖簾を見つけ激しく反応しております。でも、今日は時間がありません。
ホームに目を転じると3線ある乗り場に並ぶのは何れも神鉄顔の電車たち。駅全体が昭和の香りに包まれております。
▲神鉄顔の古めかしい電車
我々が乗る11:40発、三田行ももちろん神鉄顔。側面に回るとなんと2扉車。今どき2扉のロングシート車って・・・。車番1116を手掛かりに後ほど調べてみると、どうやら古めかしい神鉄顔の中でも現役最古参にあたるようです。車内もブルーグレーの色調が寒々しい正に昭和の電車であります。乗ってるのも昭和のオヤジだし、まあいいか。
11:40、4両編成の電車はガラガラの状態で発車。先頭車は我々を含めて5・6人というところ。
次の湊川から正真正銘の神戸電鉄となりすぐに地上に顔を出します。そして、ここからが神鉄の車窓の見せ場であります。なにしろ地下から一気に六甲山にアタックをかけるわけで50‰(パーミル)なんていう鉄道にとってはとんでもない急勾配が立ちはだかります。電車も激しく傾いております。後方を見やると神戸の市街地が見る見る眼下に遠ざかっていきます。その様子を見て2号も奇声を上げております。夜景はきれいだろうな。
鵯越を過ぎると沿線から住宅も姿を消し、谷に沿ってなお高度を稼ぎます。何本かトンネルを抜けると秘境駅として知られた菊水山駅(2005年営業休止)のホームが車窓をかすめます。
▲新開地を発車後10分もするとこの風景
▲六甲の山懐を越えて行きます
こんな山の中でも対向列車は次々とやって来ます。しかも、こちらと違って立ち客の姿も見えます。
ダム建設に伴うものらしい長いトンネルを抜けると視界が広がり六甲の北側に抜けたことをうかがわせます。右手に車両基地を見て神鉄のスーパーハブ鈴蘭台に到着、粟生線を分かちます。
鈴蘭台を出ると沿線には再び住宅地が展開しますが、六甲の南側とは打って変わってニュータウン然としています。山の街なんていうそれらしい駅名も現れます。
さらに進んで北神急行に接続する谷上に到着。2号が北神急行の電車を見つけ「なんじゃありゃ?」。劣悪な線形の神鉄有馬線のバイパスとして長大トンネルで六甲山を貫き三宮方面へのショートカットを実現した北神急行ですが、思うように乗客を獲得できず苦戦を強いられている様子。まあ、神鉄自体乗客数が減少に転じてしまっているので仕方なくもあるのですが・・・。
▲鄙びた乗換駅にフルカラーLEDの発車標
新興住宅地も途切れた12:17、有馬線と三田線の分岐駅有馬口に到着です。
有馬温泉を目指す我々はもちろん有馬線を進むわけですが、電車は三田へと向かいます。有馬線の有馬口ー有馬温泉間の一駅だけが支線のような扱いになっており有馬温泉へと向かう乗客はここで乗換えとなります。
有馬口駅は2面4線の構造ながら陸橋も地下道もなく構内踏切を渡って乗り換えます。10名弱の乗り換え客を迎えてくれたのは神鉄最多勢力を誇る5000系の4両編成。ここまで乗って来た1100系とは似ても似つかぬ現代っ子であります。
▲最後の一駅は5000系
車内の様子は木目の壁面にグリーンのシート、もう阪急電車そのものです。元々阪急の影響を強く受けていた神鉄ですが、現在は阪急阪神ホールディングスの一員となっており、冒頭の画像のように駅名標も阪急のものに似通ったものとなっております。
ふと気が付くと窓には「女性専用車」の表示が。こりゃいかん! 2号も私もどう見ても女性には見えません・・・と席を立ちかけますが、平日のみとのこと。
周囲を威圧するような阪神高速北神戸線の高架を潜って12:23、有馬口から4分で終点の有馬温泉に到着です。
▲阪急テイストの5000系車内
大阪・梅田から1時間半もかからずに到達できる有馬温泉。さすがは関西の奥座敷と呼ばれるだけのことはあります。しかし、この時、電車から降り立ったのはわずかに10名足らず。それでも正直なところ案外多いなと感じました。
▲有馬温泉駅に到着
大阪から有馬へのアクセスは最初に書いたとおり阪急の高速バスが圧倒しております。概ね1時間あたり2本の高頻度。最速55分(特急便)の利便性が受けているようです。運賃は1330円と電車の方が安いものの乗り換えなしの手軽さには敵わないのでしょう。我々も帰路はバスを使ってみるつもりです。
でも、手軽に山岳路線の車窓を楽しめる神戸電鉄も魅力的なんですけどね。もちろん、「全国登山鉄道パーミル会」のメンバーです。・・・最近泣かず飛ばずですが。
そうそう、今なら神鉄乗りつぶしに便利な乗車券が発売されています。「神鉄おもてなし切符」は1日神鉄全線フリーでなんと1000円! 9月末までの期間限定ですのでお忘れなく。
詳しくは コチラ(pdf)
この記事へのコメント
飛んでモアイ
今回、ブログを見て、行きだけ神戸電鉄を利用し、
バスでは見れない光景を見る価値が有るかと思いました。
「遠方から来られる客」のもてなしルートと良いかもしれませんね。
良い情報、ありがとうございました。
ついでに、大阪駅バスターミナルの事で。
先日、大阪着で高速バスに乗りました。
バスターミナルへスムーズに入り、すぐに出れる。
この日は、OCATまで乗ったのですが、
ロス無く進んだ感じがします。
桜橋の時は、入るのに信号、出るのにも信号で、
ロスが多かったが、それが無くなった感じですね。
まるたろう
ただ、以前神鉄の乗りつぶしをした時、有馬温泉駅には行きました。
神鉄の路線も、なかなか変化に富んでいて、面白いんですが、
粟生線もそうですし、乗客が減っているのが心配です。
いそしぎ
交通には、やっぱり高速バスを利用しましたね。
日帰りの温泉だけの旅行なら、電車でも荷物も少なくていいかも知れませんね。
阪急テイストな車内は、ほっとするシンプルなデザインですね。
takechan
ホタルの館
神戸電鉄は粟生線の存続問題など、少子高齢化の影響を大変受けており、今後の動向が気になるところですね。
廃線やむ無しという気配もしていますし・・・。
フルカラーのLED、神戸電鉄にもあったのですね。
寿命的に神戸高速線内のものも、そろそろ交換かな?
大阪市では、LED表示器の寿命は約20年としているそうです。
UZ
フルカラーLEDの発車標に昭和の車両のコントラストが個人的には良かったです。
うたに
50‰は相当急ですよね。沿線に木々がいっぱいですが、落ち葉で空転とか無いのかな。。
フジトモ
あおたけ
いい車窓風景ですよね〜。
新神戸から有馬へは北神急行の方が早くて便利ですが、
あれはトンネルが長くてつまらない・・・。
時間があれば、神鉄の方が断然面白いですよね!
サットン
世間一般に有馬というとバス!ってことになっているようですね。実際、早くて便利ですからねえ。でも神鉄で六甲を越えて行くのも味わい深いもんです。そう思って今回の記事で紹介させていただきましたので興味を持っていただけたのなら嬉しいです。
大阪駅バスターミナル、早速利用者の声をお寄せいただきありがとうございます。周辺の道路環境も大事ですよね。確かに桜橋口のときは発車後何時まで経っても駅前をウロウロしていたように思います。
サットン
私も大阪に住んでいながら吉本見たことありません。
神鉄は車窓も車両も変化に富んでいて飽きないですね。でも経営的には苦しいようで粟生線の末端部分は沿線と存続方法を協議し始めているとか。この間まで輸送力増強に追われていたと思ったら・・・。乗客が減っているならそろそろクロスシート車でも導入して質の向上を図ってもいいかも知れませんね。
サットン
やっぱり温泉は泊りがけで行きたいですね。私も羽振りの良かった頃は何度か泊まったもんですが。
今回はおっさんの日帰り旅ということで身軽でしたので電車の乗り換えも気になりませんでしたが、荷物があれば高速バスを選択したでしょうね。実際帰りに利用したバスの便利さには脱帽でした。
神鉄の比較的新しい電車はこんな感じです。外見と中身のギャップにびっくりです。
サットン
漠然と面白いところといわれるのが一番頭が痛いところです。
今回は慌しいながらも楽しんでくれたようでホッとしております。
サットン
神戸高速は阪神大震災の際に大掛かりな修復工事を行ったはずですが、そこここにレトロなムードが漂いますね。新開地には古めかしい地下街も残っていますし、天井の低さも古さを感じさせるのかも知れません。
粟生線は神鉄と沿線自治体との押し付け合いという構図を呈しているとか。六甲をトンネルでショートカットする車やバスに乗客を奪われているようです。廃線はともかく一民間企業には荷が重過ぎるかもしれません。
サットン
おそらく大阪から有馬への公共交通利用者の8・9割は阪急高速バスではないかと思われます。とにかく便利で安いです!私も宝塚から路線バスを利用したことがありますが、駅周辺の渋滞に巻き込まれえらい目に遭ったことがあります。
農村風景の中のフルカラーLED、なかなか乙なもんでしたよ。
サットン
ミタとサンダじゃえらい違いです!ま、最近はサンダも町らしくなってきましたが。
50‰はキツイですよ。電車が傾いてるのを体感できますから。まさに登山電車の趣です。不思議と落ち葉やヤスデで空転というニュースは聞かないですね。
サットン
プラス30分で変化に富んだ車窓を楽しんでもらえればと思うんですが。トンネルと防音壁ばかりの高速の景色よりはずっと楽しいんですけどね。やはり乗り換えなしの利便性には敵わないようです。
サットン
いつもながら下手な写真ばかりで車窓の楽しさをどれでけお伝えできたか・・・。新開地から乗車の場合、最後部に乗った方がどんどん高度を稼ぐ様子が実感できるかと思います。
北神急行は時間は節約できるんですが運賃が高くって。でもトンネル一区間だけの鉄道会社も珍しいですね。
Cedar
サットン
私も神鉄って聞くと「輸送力増強」という言葉が浮かびます。それが今や粟生線を中心に経営悪化・・・。社運をかけた公園都市線も伸び悩みと苦しい環境に苦しんでいるようです。要因は少子高齢化とご指摘の道路の伸張があるようです。車窓からも巨大な阪神高速の高架や有料トンネルの入口が各所で見られます。専門家にはこれ以上六甲にトンネルを掘るのは危険と指摘する声も。バラバラな交通政策の賜物かと。