湖都の迎賓館、琵琶湖ホテル
夏休みも終盤、大津市は浜大津の琵琶湖ホテルに出かけてきた話。
▲混雑する新快速は避けて快速でのんびり旅気分
暑いですなあ! 大阪は記録破りの猛暑日が続いておりました。このままでは焼け死んでしまいます。 「どこか涼しげなところで美味しいものでも」 と企みまして琵琶湖畔の琵琶湖ホテルにお昼を食べに行ってきました。このホテルの「琵琶湖ホテル倶楽部」に登録していると毎年誕生日プレゼントに宿泊、飲食の優待ハガキを送って来てくれます。今回はそれを利用してごちそうに有りつこうという算段です。
▲淀川を越え、フレートライナーに抜かれ・・・・
大阪駅からは混雑している新快速は避けて快足とはいえない快速で大津へと。途中踏み切り警報ボタンの発報で足止めを食い、フレートライナーや新快速、はるか、サンダーバードに抜かれ大津には定刻より8分延着。それでも私鉄乗継に比べ半分程度の時間。やっぱりJRは速い!
◆今の琵琶湖ホテル
▲琵琶湖ホテル正面(南側)☆
県庁所在地とは思えない静かな大津駅からタクシーでワンメーターの琵琶湖ホテルに着いたのは13:30頃。レストランの予約時間ギリギリです。
女性アッシャー(ドアマン)が迎えてくれます。さすがに湖都の迎賓館、必要なサービスはキチンと手抜かりないようです。
▲一方レイクサイド(北側)はこんな感じ
琵琶湖ホテルが現在の浜大津に移転して来たのは1998年のこと。設計は巨匠シーザー・ペリが担当しています。正面側はブルー系グラデーションの壁面に丸窓を配した良くも悪くも印象的なデザイン。一方、客室が並ぶレイクサイドは一転してリゾートマンションを思わせるおとなしい外観です。なぜ、ここまで拘った建物となったのかは後ほど。
▲エントランスとロビー☆
今回お邪魔したのはブッフェレストラン「ザ・ガーデン」。湖畔に面した明るいレストラン。席もガラス張りのレイクサイドのテーブルを用意してくれました。
お客さんの入りはというとテーブルが6・7割埋まる程度。夏休みの土曜としてはちょっと厳しいかも。いらぬ心配をしてしまいます。
このレストランではバースデー優待の場合料金割引の他、食前酒またはジュースをサービスしてくれるとのこと。昼間なのでジュースを選択。下の画像のとおりタンブラーに半分。何とも寂しい量です。せっかくのご厚意、野暮なことは言いたくないですが、この辺の見極めは大事だと思います。
▲夏季はアメリカンフェアー実施中
さてさて、料理の内容はというと可もなく不可もなくという感じ。料理の選択肢はもう少し欲しいかなというところ。それでも娘は自分で作ったハンバーガーを満足気に食べておりました。他にも自分でサーバーを操作するソフトクリームなど子供を意識した工夫が見られました。私のお気に入りはフローズングレープフルーツのゼリー寄せ。凍らせたグレープフルーツの食感が昔懐かしい冷凍みかんを思い出させてくれました。
ランチの料金は2500円(税・サ別)。バースデー優待だと土日祝は25%割引、平日はなんと50%割引です。太っ腹であります。さすがは京阪グループです!
今日は土曜日につき25%割引を適用してもらいご馳走様!
なお、ホテルの詳細、琵琶湖ホテル倶楽部に関しては<琵琶湖ホテルHP>をご覧下さい。
◆かつての琵琶湖ホテル
▲こちらは旧琵琶湖ホテル
せっかく大津まで来たことだし、どこか散歩でもというか最初から仕組んでおいたとおり旧琵琶湖ホテルを見に行くことに。浜大津から堅田駅行のバスで約10分、柳が崎バス停下車徒歩5分ほど。現在の「びわ湖大津館」こそが1998年まで営業していた先代琵琶湖ホテルなんです。一度来てみたかった!
1934年(昭和9年)、外国人旅行者の誘致を図る国策に沿い開業した琵琶湖ホテルのルーツを見ることができるんです。設計は中之島公会堂の原案や先頃閉館した歌舞伎座を担当した岡田信一郎に委ねられたそうです。そういわれれば歌舞伎座によく似ています。まあ、桃山破風造という様式を取り入れれば自ずと似てくるんでしょうね。
▲ロビー正面の階段
正面玄関を入ると真紅のカーペットとご覧の階段が迎えてくれます。往年の“グランドホテル”を髣髴とさせる一シーンです。左右のエレベータや決して華美でない照明もいい味出してます。
建物の規模は地上3階、地下1階建。開業当時の客室数は38室とのこと。なお、このホテルの歴史については上記琵琶湖ホテルHPに詳述されています。
▲ロビー全景と琵琶湖を望む多目的ホール「桃山」
浜大津への移転、新築をもってホテルとしての役割は終止符を打ち大津市に譲渡され改修工事を行った後多目的集会施設として再デビューを果たしています。
われわれが訪れたときも数件の会議が入っていたようです。鍵が開いていたホールに潜入するとディナー形式のセッティング。婚礼にも利用されるようです。
▲ホテル時代のキーボックス
現在も受付として使用されているかつてのフロントカウンター内にはキーボックスが残されていました。昭和天皇、ヘレン・ケラー、ジョン・ウエインも宿泊したとか。
▲いずれも展望バルコニーから
館内には他にレストラン、喫茶コーナー、売店などが設けられています。2・3階からはバルコニーに出ることもでき湖都大津の中心部を琵琶湖越しに一望することができます。現在の琵琶湖ホテルも真正面に。
▲玄関ドアガラスにはホテルのエンブレム
湖畔にも出ることができそうなので側面のサブエントランスを通ると旧ホテルのエンブレムを見つけました。アップで撮ろうとしたら自動ドアが開いてしまうのでこんな感じになりました。
▲湖畔側からの全景
浜辺から見ると写真などでよく見かけるシーンが。湖畔に建つ桃山造りの建物は強烈な存在感を放ちます。2代目の新築に当たり気合が入ったのも納得できます。故に2代目の外観は奇抜ともいえる意匠となりましたが、館内は旧ホテルと比して違和感のない落ち着いたムードを提供できるよう配慮したとのこと。
▲江若バス琵琶湖景観塗装車(浜大津)
琵琶湖の水も温かいほどの暑さに音を上げ帰るとします。
大津駅行の江若バスは琵琶湖の景観をデザインしたボディでした。年式は古いものの貸切兼用のワンロマ車。エアコンのありがたさに感謝しながら浜大津まで。
浜大津といえば大津市の中心だったはずですが、その寂れぶりは目を覆わんばかり。人がいません。駅前のOPAも撤退し空いたフロアの大半は市の施設が穴埋めしている様子。都心空洞化の典型を見る思いです。
▲帰りは京阪京津線で(浜大津)
帰路は趣向を変えて京阪京津(ケイシン)線経由で帰るとします。大学時代、鉄道研究会の年間研究テーマに京津線を選んだことがあります。30年近くも前の話。その京津線ともしばらくご無沙汰しておりました。
当時とは大きく様相が変わっています。京都市営地下鉄東西線との直通に伴い否応なしに変えられたと言っても良いでしょう。京都都心直通と引き換えに運賃は実質値上げ。地下深くに設けられた駅のお陰で不便になった三条での乗換えなど数々の不便を強いられることになりました。コンクリート重視の行政に憤りを感じます。
それでも地下に入るまでは懐かしい車窓を楽しめます。逢坂山越えの停車駅ではドアが開くとヒグラシの声が聞こえます。この瞬間は暑さを忘れほっと一息つけました。
さあ、明日からの9月も容赦のない暑さが続くようですが、もうしばらく辛抱しましょう。
記事中☆印を付した写真は過去に撮ったものを再掲しました。
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この記事へのコメント
ホタルの館
今も建物はあるらしいですが、経営母体が変わっているそうですよ。
京都市営地下鉄東西線は東山駅近くにある美術館に行くために何度か利用しました。
manamana
楽しいです。
最後は江ノ電のように路面を走る地下鉄、
大好きな電車です。
keroro
大津辺りには弱いので、
城めぐりを兼ねてじっくり行ってみたいです。
Cedar
びわこ号まで作って大阪と連絡したこともあったのに・・・・
まるたろう
石山坂本線です。一度乗りに行きたいですね。
サットン
♪びわこおーんせーん ホテルこーよーー、ってCMですね。
現在も旅亭紅葉と名を変えて営業しています。旧琵琶湖ホテルに向かうバスから見えました。
東山三条の駅も京津線時代は便利だったんですが・・・。
サットン
京津線は急勾配に急カーブ、加えて路面区間もあって変化に富んだ車窓が見ものですね。かつては三条通も路面を走っていましたが。
サットン
城好きのkeroroさんにとって大津ってエアポケットかも。近くに著名な城はないですからね。ニセモノの城はありますが(旧琵琶湖文化館)
琵琶湖の風景ってなんかほっとします。
サットン
京津線、失ったものが多すぎますね。無理矢理地下鉄に組み込むこともなかったんじゃないかって思います。富山で健闘する路面電車の姿を見た後だけに痛感します。
びわこ号については幸い寝屋川市と京阪のタイアップで復活運転の計画が具体化しつつあります。
サットン
不便になったものの京津線(東西線)は見所満載です!なにしろ地下、路面、急勾配と何でもありです。フリー切符もありますよ。
いそしぎ
特にロビー正面の階段のショット、綺麗ですねぇ~。
あさひ
ホタルの館さま、サットンさまの会話・・・
ホテルこ~よ~♪に爆笑しちゃいました(^^)
♪ありまひょうえのこ~よ~かくへ♪とか
♪ホテルニュー~あ~わ~じ♪とか
最近では♪ようこそようこそわだつみのやど~♪とか
なんでこんなに頭にへばりつくんでしょうね、
ま、宣伝ですから(笑)
サットン
旧琵琶湖ホテル、なかなか強烈です。細かく見ればいろいろお宝が見つかるそうです。
京阪沿線からは手軽な日帰りコースですが、涼しくなってからの方がじっくり見れていいかも知れません。
サットン
ナイス突っ込みです!
こうしてみれば旅館のCMって名作揃いですね。印象に残るだけじゃなくキチンと商品名(旅館名)も主張してますよね。
中には巨匠キダ先生の作品もありますね。
うたに
滋賀県の県庁所在地…関東に住んでいる人には、意外と難問かもです。
サットン
旧琵琶湖ホテルの造作はコンクリートであることを疑いたくなるほどです。外国人客を意識して結果のデザインなんでしょうね。
滋賀の県庁所在地って彦根?米原?って言われそうですね。大津市・・・地元関西でも存在感薄いです。
喜撰猿丸
大津の旧市街の見事な寂れっぷりをご覧頂いてしまったようですね。人通りなら、石山や膳所の方があると思います。
大津市は核がない、とよく言われます。膳所、石山、瀬田、堅田など、全てもともとの大津とは別の町で、どこもそれなりに力があったので、本当は親分となるはずだった「大津」がそれらをまとめ切れていないような印象がありますね。そのバラバラをつなぎ合わせているのが、結局「京都」のように見えます。
サットン
前から気になっていた旧琵琶湖ホテルに行ってみました。なにはともあれ引き続き使用されているのは喜ばしいことですね。
学生時代には京阪大津支社を訪問したりと浜大津には日参したものですが、もう少し賑わっていたと思います。確かに大津市は核がないんですね。加えて他都市にも見られるように郊外型SCに人が流れているんでしょう。
公共交通でアクセスできる都心部に求心力を持たせないとこれからの高齢化社会、買い物難民が続出すると思います。