大阪人が見た広島の電車たち 2022冬の広島遠征~完

広島は都会だった・・・

これが乗り鉄目的では39年ぶりに訪れた広島の率直な印象です。
今回は5編にわたってお届けした広島遠征の中で、特に印象に残った鉄道風景をランダムにご紹介して、まとめに代えたいと思います。


◆広島シティネットワーク

1日目の夜、初めてのレッドウイングこと227系に呉から乗車しました。広島のJR電車というと、瀬戸内色か湘南色の115系という古い認識を見事に覆してくれました。
そして到着した広島駅。ホームが明るい! 加えてラインカラー、路線記号を取り入れたスマートなサイン類、広々とした橋上駅舎などに、国鉄時代の遺物しか知らなかった私は目を見張ったのでありました。

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▲レッドウイングこと227系電車

國鐵廣島からのイメージチェンジを高らかに宣言した広島シティネットワークのイメージリーダー的存在。
アクセントカラーの赤は厳島神社、そして広島カープに由来するとか。

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▲広島モデルです

車内に並ぶシートも京阪神の茶色系に対し赤色系と徹底しております。とどめを刺すのが「HIROSHIMA Model 227 series」の文字。広島の皆様のために造りました!と。このフレーズ、誇り高き広島の人々の心に響いたのではないでしょうか。

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▲広島シティネットワークのロゴ

227系を広島シティネットワークのハード面の象徴とすれば、ソフト面での象徴が路線記号、ラインカラーを導入した新しいサインシステムです。

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▲ずらりと並ぶ発車標

新サインシステムは広島駅在来線改札口に並ぶ発車標にも反映されています。写真がブレブレなので文章で補足しますと・・・左から山陽本線下り=赤、可部線=青、山陽本線上り=緑、呉線=黄、芸備線=紫となっています。
ただし、現行ダイヤではここに優等列車が表示されることはありません。


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▲シックなデザインのサイン類

誘導サインもJR西日本の最新デザインに準じたものになっています。ただ、アーバンネットワークエリア同様ラインカラーの主張が弱い気がします。単なる飾りと捉えられているかも。

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▲ラインカラーをまとった駅名標

もちろん駅名標も線区ごとに色分けされています。JR西日本のコーポレートカラーである青帯をあしらった駅名標は過去のものになりつつあるようです。

広島は数々の交通事業者のコーポレートデザインを手掛けるGKデザイン総研広島のお膝元。デザインにも力が入るんでしょうね。


◆新駅ビルと広電駅前大橋ルート

現在広島で進行中の鉄道関連2大プロジェクトが広島駅ビルの改築と広電駅前大橋ルートの整備です。

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▲駅前大橋から猿猴橋を見る


まず、駅前大橋ルートについて。現在、広電の広島駅~都心(八丁堀、紙屋町方面)間のルートは猿猴橋町を通る東へ迂回したルートをたどっています。それを広島駅から南に進路を取り、駅前大橋で猿猴川を渡り稲荷町まで駅前通りを直進するルートに変更、ショートカットを図るという事業です。

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▲駅前の「ホテル川島」10階から見た駅前通り

手前が駅前大橋南詰、広島駅方向です。通りは既に中央寄りの北行2車線、南行1車線が閉鎖されており、そこに軌道が敷設されます。

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▲新駅ビルに乗り入れる

さらに新ルートは同時並行で工事が進む広島新駅ビルの2階に乗り入れることになります。写真は駅前大橋北詰から工事中の新駅ビルを見たところです。この付近から高架に上がることになります。左側の白い壁の向こうに軌道が敷かれます。

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▲猿猴橋を渡る1000形

加えて、的場町ー(本線)ー紙屋町ー(宇品線)ー皆実町6丁目ー(皆実線)ー的場町を経由する循環線が新たに設定されます。様々な可能性を秘めた駅前大橋ルートなのであります。
代わりに現在の猿猴橋ルート(広島駅~的場町)は廃止になります。

駅ビル、駅前大橋ルートともに2025年春の開業を予定しています。


◆広電の電車たち

今回見かけた広電の電車たちをご紹介。

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▲広電の最多勢力1000形

18本と単車、連接車含めて広電の最多勢力を誇る1000形。とにかくよく見かけました。連接車ながら18mというコンパクトボディを活かして軌道線全線に乗り入れ可能だそうです。

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▲角ばったボディは3900形

愛称はぐりーんらいなー。3車体連接のVVVF制御車です。

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▲ドイツ車5000形

初代GREENMOVER。ドイツSIEMENS製。12本が導入されましたが、日本の風土に合わなかったのか約半数が運用離脱しているそうです。ザンネン!

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▲5100形は国産車

5000形の反省に立ちU3プロジェクトによる国産初の超低床、フルフラット構造で登場。

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▲700形

広電初の軽快電車。各地の軌道線に似た顔がいます。

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▲1900形

ご覧の通り元京都市電です。単車としては最大の15両が在籍します。

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▲サボ現役です

1900形の側面にはいまだサボが現役で使われています。1900形各車には京都に因んだ愛称が付けられており、この1903号には「舞妓」が与えられています。

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▲650形降臨!

遠くからなにやらオーラを放つ電車が近付いて来ました。戦中製の650形。3両が残るうちの652号。この日は貸切運用に入っており、広島駅前でお弁当らしきものを積み込んで折り返して行きました。


◆バス王国広島

ということで路線バスも少しですが眺めていました。

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▲駅前大橋のバス行列


ラッシュではありませんが、バスが数珠つなぎ状態。

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▲広電バス

数ある路線バス事業者の中でも最大手の広電バス。

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▲広島バス

三菱エアロスターワンステップ車。デザインには北鉄バスと共通したイメージを感じます。

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▲広島バス旧塗装車

塗装も古けりゃ、車体も古い。調べてみるとやはり日産ディーゼル製のシャーシに富士重工製のボディを載せたもの。昭和のバスのゴールデンコンビですが、現在はいずれもバス事業から撤退し、社名も変わっています。

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▲広島交通

三菱新型エアロスターノンステップ車でしょうか。


◆余談ですが・・・


余談ですが、大阪に帰る際11年ぶりに「のぞみ」に乗りました。その日も広島駅みどりの窓口は混雑していました。ダイヤが混乱していた昨日ほどではないもののみどりのエリア外にまで溢れそうな状態です。さては業務効率化の名の下に進められているみどりの窓口の相次ぐ廃止のシワ寄せが利用者を直撃しているのかも。こんな行列に付き合っていたら何時になるのかわからないと、おとなしくみどりの券売機で15:22発「のぞみ36号」の指定席を入手します。(「さくら」は満席でした。)

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▲マツダスタジアム、昨年の雪辱を期待して

山陽区間の「のぞみ」なんて空いているだろうという甘い予想は見事に外れ私の隣席B・C席にも大量の荷物を抱えたおばちゃんが。こんな状況でのA席って窮屈この上ないんですよね。シートマップを見ずに購入したのがまずかったかなと反省しきりであります。
定刻に広島を発車した「のぞみ36号」はすぐにマツダスタジアムを右手に見送ります。いつも野球中継でバックネット越しに見ている景色の中に身を置いているのがなんとも不思議な感じです。

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▲新大阪駅27番線に初めて降り立つ

岡山で遅れている特急「やくも」との接続を取ったため4分遅れとなり、そのまま新大阪へ。接続しているはずの「ひかり」は待たずに発車しますとの放送が。改めて東海道の過密ぶりを実感する中16:47頃(定刻16:43)、新大阪駅27番線に到着です。私にとっての初27番線であります。

予想外の雪に見舞われ、想定外の新幹線のトラブルに巻き込まれた39年ぶりの広島乗り鉄遠征はこうして幕を閉じたのでありました。