高岡駅とあいの風とやま鉄道 2022夏の富山旅④

特急が来なくなった高岡駅

北陸新幹線開業後の高岡駅の様子が気になっておりました。ご承知のとおり新幹線は高岡駅は通らず市街地の南を通り、新たに新高岡駅を設置することになりました。・・・新幹線を現駅、新駅いずれに誘致するかは市を二分する大論争があったそうです・・・ 同時に高岡駅を通り特急街道と呼ばれた北陸本線は第3セクターに移管されローカル輸送に徹することに。サンダーバード、しらさぎ、はくたか、北越という特急列車群がひっきりなしに発着していた高岡駅に特急が来なくなった・・・。果たして高岡駅はどう変貌したのでしょうか?

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▲明るく、スマートになった高岡駅舎

新幹線が新駅を通るということは高岡駅及び周辺の中心市街地にとっては空洞化という波をかぶることは避けられません。そこで高岡市はテコ入れ策として高岡駅の交通結節機能の強化を打ち出します。地域の交通機関相互の乗り換えをスムーズに行えるよう駅周辺を再整備することで人の流れを活性化しようというわけです。

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▲改札外自由連絡通路

まず、核となるべき駅舎は如何にも昭和の民衆駅然とした旧駅舎から駅ビル「クルン高岡」を併設したスマートな橋上駅舎に改築され、改札外には古城公園口(北口)と瑞龍寺口(南口)を繋ぐ自由連絡通路を備えています。ゆったりとした空間が確保され休憩できるスペースも用意されています。

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▲1Fの待合室

1Fには鉄道利用者だけではなく、万葉線、路線バス利用者も対象としたゆったりとした待合室が設置されています。椅子も十分にあります。待たずに乗れるわけではない地方都市では必要度の高い設備だと思います。
奥には加越能バスが案内所を構え、左手にはご当地キャラのドラえもんの姿が。(高岡名産の銅製品にちなんで赤銅色をしています)。


◆駅ビルに乗り入れた万葉線

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▲駅ビル内に移設された万葉線乗り場

そして結節機能強化の最大の目玉がこれ! 万葉線の駅ビル乗り入れです。これで降雪など荒天時でもストレスなく乗り換えできます。この種の利便性向上策は最近各地の路面電車で見られます。長崎市は新幹線乗り入れに伴う駅前大改造という絶好の機会を棒に振ったようですが。

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▲ドラえもんトラムが発車


◆あいの風とやま鉄道で富山へ

それではJR北陸本線改めあいの風とやま鉄道に乗って次の目的地富山駅に向かうとしましょう。

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▲不思議な発車標

画像の改札口に設置された発車標、これが不思議なんです。右側が真っ黒に写っていますが、実際にはきちんと表示されています。タイミングを変えると今度は左側が真っ黒に。コンデジでもスマホでも同じ結果でした。いったいどうなっているんでしょう?

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▲改札内コンコース

最新デザインらしきサイン類に従ってあいの風とやま鉄道下りホームへと赴きます。

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▲持て余し気味の長いホーム

かつて最長12両編成の特急列車が発着していた長いホームも2両~4両のローカル列車しか来なくなった今では持て余し気味。次の列車を待つ乗客で賑わっているのは2両編成が止まるわずかな部分のみです。

以上、城端線からあいの風とやま鉄道に乗り換える合間に駆け足で見て回った高岡駅。人が少なくなったな、というのが率直な印象です。特急利用客が丸ごと消滅したんですから当然ではありますが。幹線時代の長大なホームと新しいハードを持て余しているようにも見えました。とはいえ、結節機能の強化が図られた点は明るい材料でしょう。願わくば事業者、行政、利用者が一体となって持続可能な地域交通づくりに向け進んで行って欲しいものです。

では、15:06発富山行き447Mで高岡駅を後にします。車両はJR時代からお馴染みの521系2両です。

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▲今日の宿泊地富山に到着

列車は立ち客もちらほら出た状況で高岡を出発、富山に近付くにつれ乗客を増やし最終的にはドア付近に立ち客多数という状況で15:24富山に着きます。


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▲あいの風とやま鉄道の?521系

普通列車とはいいながら特急街道を支えて来た高規格の線路と高性能を誇る521系による胸のすくような豪快な走りっぷりが印象的でした。

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▲あいの風とやま鉄道かと思ったら

さて、高岡から乗って来た列車は疑いもなくあいの風とやま鉄道の列車だと思っていました。ところが帰宅後写真を見返していて車両がIRいしかわ鉄道のものだと気付きました。そうです。あいの風とIRの列車はほとんどが2社に跨って運転されるため両社の車両が入り乱れて走っているのでした。我ながら迂闊なことでした。

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▲富山駅改札内コンコースの発車標

壁面にビルトインされた発車標が珍しいので記録しておきました。

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▲富山に来たことを実感

新幹線開業後の富山駅を訪ねるのは今回が初めて。ですが新駅の外観は各メディアで何度も見ているので初めてとは思えませんでした。

それでは今夜の宿となる「ホテルヴィスキオ富山」にひとまずチェックインし、小休止の後富山地鉄市内線の乗りつぶしに繰り出すとします。

乗りつぶし 城端線編 2022夏の富山旅③

12年前のリベンジを果たす

富山県の山奥五箇山から「世界遺産バス」(>>>こちら)に乗り、やって来た城端駅前、時刻は13:00。目的はもちろんJR城端線を乗りつぶすことであります。

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▲きれいに手入れされた城端駅舎

この城端線とはある因縁があります。12年前の夏、富山県下未乗路線踏破作戦を展開中だった私は高岡駅にいました。多くの乗り鉄同様城端線と氷見線をセットで乗りつぶす予定にしておりましたが、うっかり城端線の発車時刻を勘違いしてしまい乗り遅れるという失態を犯してしまいます。結果氷見線のみを乗りつぶし、泣く泣く撤収したのでありました。今日は、いよいよ12年前のリベンジを果たすときが来たのです。少々鼻息も荒くなります。
※氷見線乗りつぶしの様子は >>>こちら

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▲清掃の行き届いた待合室

待合室に入るとかつて駅舎の壁面を飾ったであろう駅名標が迎えてくれます。古い木造駅舎ながら内外ともにきれいにメンテが行き届いており気持ちいい。

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▲乗って残そう城端線

その待合室の一角には指名手配犯のポスターに並んでこんなポスターが。「守ろう私達の足」とありますので、乗って残そう的な趣旨のようです。コロナ禍の煽りで俄かに高まったローカル線存廃論議に危機感を覚えたのでしょうが、城端線はまだ安泰じゃないかと思うんですが。

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▲富山までの乗車券

窓口で富山までの乗車券を求めます。¥960也。これが城端線存続の一助となればいいんですが・・・。

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▲お約束の駅名標と

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▲終端部分を

13:23発の高岡行き340Dは既に入線しており、三々五々乗客が乗り込んでいきます。
いつもは完乗後に紹介している終端部の画像ですが、今回はいきなり登場します。

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▲キハ47登場!

その340Dはいうまでもなくタラコ色のキハ47の2連であります。全国的に見てもその数を減らしているキハ40一族ではありますが、JR西日本管内にはまだゴロゴロしています。

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▲絶賛散水中

線路を見るとレールに散水が行われています。猛暑によるレールの膨張を抑えるためでしょうが、局所的に冷やしたところで効果があるのでしょうか?


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▲砺波平野を行く

列車は定刻に発車、私の乗っている車両は5人程度の入りです。
車窓は砺波平野特有の散居村の風景が展開する長閑な眺めが続きます。

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▲砺波市の代表駅

城端線のほぼ半ば砺波駅に着きます。さすがに砺波市の代表駅というだけあって多くの乗客が乗り込んで来ます。
駅舎も近代的な橋上駅となっています。Wikiによれば1998年改築のこの駅舎は富山県初の橋上駅舎だそうです。

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▲新高岡駅にて

高岡に近づくにつれて車窓は多くのローカル線と共通の風景になり退屈を覚えます。スマホに目を落としているうち到着したのは北陸新幹線乗換駅新高岡。ホームにはこんな掲示が。新幹線乗換駅とはいえ棒線状の城端線ホーム、乗り間違える乗客も少なくないようです。っていうか、この駅新幹線接続駅としてどの程度機能しているのでしょうか?

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▲高岡駅到着

14:17、終点高岡駅に到着、城端線29.9km無事踏破完了です。同時に12年間のモヤモヤも解消です。

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▲肩身の狭そうなJR西の駅名標

ようやく城端線を乗りつぶしたというのに何か違和感を感じます。一つは辿り着いた高岡駅がJRの駅ではなくなっていたこと。もう一つがスケジュールの都合上、終点側から攻めたことが原因のようです。お陰で往復する手間が省けたわけですが。


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▲富山方にはヨンマル達のネグラが

次号は特急列車が来なくなった高岡駅の様子を見てみます。


今回の成果
新規踏破区間 JR西日本 城端線 城端ー高岡 29.9km
JR西日本踏破率 91.771%(91.159%)
JR踏破率    87.749%(87.595%)
         (  )は直前のデータ
         ※「乗りつぶしオンライン」による集計

コロナ禍の「世界遺産バス」に乗る 2022夏の富山旅②

二つの合掌集落を繋ぐ路線バス

富山県は五箇山・上梨の集落まで家人の運転するクルマでやって来た私でありますが、ここからは独り立ちし、路線バスの旅を楽しみます。世界遺産もスルーして嬉々としてバスに乗り込む私の姿は他人にはどう映っているのでしょうか?


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▲その名も世界遺産バス


◆世界遺産バスとは・・・
乗車するのは加越能バスが運行する「世界遺産バス」であります。なにやら大仰な名前ですが、文字通り世界文化遺産の「白川郷と五箇山の合掌造り集落」を構成する岐阜県白川郷・富山県五箇山地区と城端駅・新高岡駅・高岡駅を結ぶ世界遺産へのアクセスを担うバス路線なのであります。さらに白川郷ー城端駅前間の区間運転便が加わります。
車両は一部高速経由となるためWi-Fi装備の貸切仕様車が充てられています。ただし、区間便は高速に乗らないので一般路線車が充当されているようです。

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▲上梨バス停


◆地元の足に戻った世界遺産バス

上梨バス停近くの「ドライブイン山甚」で昼食をかき込み、12:22発の高岡駅前行きに乗るべくバス停へと急ぎます。(この付近はフリー乗降区間のようですが、念のためバス停へ)。すぐにやって来たバスは世界遺産バスのラッピングをまとった専用車。ここからの乗車は私だけ。先客も2・3人と「白川郷から満席で到着したら・・・」という心配も杞憂に終わります。

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▲相倉口バス停

上梨トンネルを抜けた下梨バス停から中学生風が5人乗車、静かだった車内はにぎわいます。

R156から分かれてR304を進み、程なく相倉(あいのくら)合掌集落の最寄となる相倉口に到着。五箇山地区最大の合掌集落とあってバス停もミニ合掌造りになっています。

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▲危険なバス停


素朴な合掌造りと隣り合うように「落石注意」と表示された物々しい落石覆いが。なんとも対照的な眺めです。
ここから観光客が2人乗車。

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▲トンネル区間を行く


R304に入ってからというもの連続する急カーブとトンネルで高度を稼ぎつつ進みます。
相倉口を出てから城端の市街地までの間乗降はありませんでした。
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▲砺波平野を見下ろしつつ

ひと際長い五箇山トンネルを抜けると峠のピークを越えたのか眼下に砺波平野のパノラマが広がり目を奪われますが、残念なことに窓ガラスが汚い! カメラを向けてもガラスに反応してピンボケの量産ですわ。


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▲レトロな城端の町並み

城端の街を目指してどんどん高度を下げレトロな町並みを抜けて行きます。ちょっと散策してみたくなりますが、この後かたずけないといけないミッションがあるのでお預けです。

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▲城端駅前に到着

13:00、城端駅前に到着です。バスはこの後高速を経由し高岡駅前まで向かいますが、私はここで下車します。
所要時間38分、運賃¥940のバス旅でした。


※白川郷ー高岡駅前間を乗り通すと2時間10分、¥1800となります。

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▲世界遺産バスラッピング

事前に調べたところ、コロナ前は世界遺産目当てのインバウンド客でにぎわっていたようです。ところがコロナによるインバウンド消滅の波をまともに受け現在(2022年8月)に至るも減便ダイヤで運行されています。それでも私が乗った便はピークでも10人少々の乗車という低調さ。さらに夏休みにもかかわらず観光客は3人(私を含む)と完全に地元の足という状況です。しかし、この路線は元々全区間一般道経由の普通の路線バスだったようで、今の状況がこの路線の本来の姿なのかも知れません。

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▲高岡駅前に向けて発車

最後に世界遺産バス利用時の注意事項を

※現在コロナ禍に対応した減便ダイヤで運行されています。利用に際しては加越能バスHPで最新のダイヤを確認してください。>>>加越能バスHP
※加越能バスでは交通系ICカードは使えません。現金をお忘れなく。

蛇足ながら全線一般道経由時代のこの路線が、テレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」第1弾(横浜駅前ー氷見)に登場しております。

続いては城端線乗りつぶしの巻です。