トワイライトの旅1990 余話

北海道の鉄旅の思ひ出を・・・・

「追想 トワイライトエクスプレスの旅 1990」 からの続きです。

今回も前記事同様、紙焼写真を披露しながらの冬の北海道乗り鉄記事です。まあ、紙芝居気分でお付き合い下さい。

トワイライトで札幌に着いた後のことをご紹介しようと思うのですが、この頃の私は「記録よりも記憶」というどこぞの文化人の言葉に洗脳されており、ろくに記録が残っておりません。記憶したはずの事柄も脳内のメモリが低品質なこともあって多くが消えてしまっております。従って時間や列車名が曖昧であることを始めにお断りしておきます。記録って大事ですよね~。

石勝線は恨むが如し

後ろ髪を引かれる思いでトワイライトを見送った後は石勝線乗りつぶしに向かうべく特急「おおぞら」乗車を予定しておりました。ところが直近の「おおぞら」の自由席は座れず。1本見送って捲土重来を期しますが、目の前に停まったのはなんとキハ184! 機械室を設置しているため座席が少ない車両です。お陰で同行のN君(←鉄分濃い目の一般人)ともどもあり付けたのは通路側の席という有様で取りあえず石勝線完乗。トホホ・・・・。

鈍行で辿る根室本線

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石勝線の後は根室本線で滝川へ北上しますが、そんなこんなで当初予定の帯広まで行かず新得から引き返すことに。待合室で時間をつぶし、やって来た鈍行に乗り込みます。車両は今も変らぬキハ40。まだJR北海道カラーにはなっておらず、国鉄時代のタラコのままでした。最近先祖帰りで再びタラコに戻っているようですが。
滝川への途中、長時間停車したのが東鹿越の駅。暇つぶしの記念撮影の図がこの写真。上着も着ずに寒そうに見えますが、ご存知のとおり北海道の列車内は強力な暖房が効いています。しばし寒風に晒されるのも心地良かったと記憶しています。

711系と記念撮影

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終点滝川に着いたのは日も暮れた頃になったようです。ここでも記念撮影を。隣に見えるは真っ赤な711系。北海道の電化区間のヌシですな。長らく国鉄在来線唯一の交流専用電車ということもあって、初めての渡道の際には最も注目していた車両ですが、乗ってみると交流専用だからどうということもなく、大した感動もなかったように思います。このとき既に赤地に白帯を纏っていますが、私は登場当初のワインレッドの方がしっくり来るような気がします。その711系もこの度のダイヤ改訂で遂に完全撤退してしまったとか。1両も保存されないのかなあ?
ところで、この後札幌に向かったのですが、時間的にみてこの711系に乗ったとは思えません。おそらく「ライラック」でもとばしたのでは、と思いますが、全く記憶にございません。N君にでも訊いてみないといけませんね。

北の迎賓館

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そして、この日の宿は憧れの札幌グランドホテル! 北の迎賓館と称される老舗です。過去何度か宿泊を試みましたが、生憎と満室に当ってしまい果たせずにいたホテルでした。今回はやっと念願かなってレトロ調のインテリアが渋い本館の客室を予約したのでありました。
この頃の札幌グランドのロビーは極端なまでに絞った照明が印象的でした。そもそもホテルのロビーは顔が指さないように照明は落としていたものですが、このホテルは特に暗く、大人のムードまんてんの空間でした。ロビーに待機するスラッと長身のベルガールさんも格好良かったなあ。今は変っているんでしょうね・・・・。

小樽のすしよ

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翌日は、お寿司を食べたい!というN君の希望で小樽へ。ところが、N君が目星を付けていた店がどうしても見つからず。結局、通りすがりの寿司屋街の店に入ったように思います。
小樽の町を散歩して・・・ ♪粉雪舞い散る小樽の駅に~♪ とロマンチカのメロディがグルグル回る。
小樽からは721系の快速で再び札幌へと舞い戻ります。札幌まで座れず。
雪まみれの721系の顔がいかにも冬の北海道ですな。

帰路は益々混沌と・・・・

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札幌駅でさらに奥地を目指すN君と別れ横浜への帰路に就きます。まずは特急「北斗」で函館へ。「おおぞら」の轍を踏むまいと指定席を押さえたようです。そういえば、一時期こんな色のキハ183系もありましたね。
道中なぜか車内照明が消えた下り「北斗」を見かけたこと以外なんの記憶もないまま深夜の函館着。駅前の函館ハーバービューホテル(現ロワジールホテル函館→フォーポイントバイシェラトン函館)に投宿。
翌朝は、快速「海峡」、特急「はつかり」、特急「やまびこ」と乗り継いで仙台からは特急「スーパーひたち」で一気に上野を目指します。651系の乗り心地をたっぷりと楽しみながら。もう二度とこのときの常磐線を辿ることはできません。

当ブログでは日頃ご紹介することもない北海道の旅が2話続きましたが、学生時代の1980年代から関東在住だった1990年代前半にかけては毎冬のように北海道に渡っていたものです。「北風が俺を呼んでるぜ」、ってな感じで。(←小林旭気取り)
最後の渡道から既に10年。もう一度だけ北海道の北風に吹かれてみたいもんです。

追想 トワイライトエクスプレスの旅 1990

夢の列車トワイライトエクスプレス

大阪駅の発車標に灯る「札幌」の文字、世紀の大事業青函トンネルの存在を遥か1000km以上離れた大阪でも実感できる一シーンです。その札幌へと導いてくれるのが特急「トワイライトエクスプレス」。津軽海峡を越え大阪―札幌間1500km近くをおよそ22時間かけて結ぶ正に夢の列車です。
今日は、この夢の列車に乗ったときの思い出話にお付き合いいただければと思います。

時は1990年1月12日。トワイライトが臨時ながら一般の列車として寝台券をみどりの窓口で購入できるようになったのが1989年の12月ですから正に運転開始当初に乗ったわけです。
この夢の列車に是非乗りたい!というN君(←鉄分濃い目の一般人)と乗車を画策、1ヶ月前に手分けして寝台券入手に挑みます。当時東京在勤だった私は東京駅八重洲口のみどりの窓口へ。入手できたのはBコンパート。一方、職場出入りの旅行代理店を巻き込んだN君は首尾よくB個室ツインをゲット、もちろんツインを生かします。
というわけで、1月11日、仕事をなんとか片付け夜遅い新幹線で一旦大阪の実家に戻り翌朝大阪駅から出発と相成ったのであります。

ここからはその時の紙焼写真をお目にかけながら追想に耽りたいと思います。私の姿も無修正で晒しております。25年も前のことなので今の姿は想像もできないかと。お目汚しですが、ご辛抱下さい。

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夢の列車との初対面
このエクステリアデザインには正直言って面喰いました。鉄道雑誌上で見たときには軍用列車かと思ったもんです。
大阪駅は10番線からの発車と変化が無いようにみえますが、今の10番線とは異なります。大改造工事でこの付近の姿はすっかり変わっております。
それにしても人影が少ないですね。

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遥かな旅立ちを前に緊張と期待が入り交じったワンカット。
国鉄様式の駅名標が懐かしいですね。JR発足後3年目のことです。
方向幕の「札幌」の文字に気持も高ぶります。
手にはカフェイン中毒者の必需品、缶コーヒーを持っています。

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大阪駅のホームにも「札幌」の文字!
この表示に鉄道ファンでなくても北への旅情を掻き立てられた人は決して少なくないと思います。
この頃のJRグループにはまだまだ連帯意識が残っていたんですね。
LEDの発車標も初期のもの。「特急 トワイライト 12:00 札幌」と情報量も少ないです。列車名も短縮しての表示。
大阪発車時刻は12:00でした。

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サロンカー「Salon du Nord」での寛ぎのひと時
就寝時と夕食時以外はほとんどここに居たと思います。せっかくのツインですが、個室は悲しいかな反対側の景色が見えません。その点、サロンカーは特大の窓越しに沿線のパノラマを存分に楽しめます。残念だったのはビデオモニターから大音量で流れて来る音声です。なにやら子供向けのコンテンツでガキども子供たちが面白がってボリュームを上げていたのでした。この列車のコンセプトには合わない装備だなあ、と思ったもんです。
インテリアは2001年頃のリニューアルで木目調のシックなデザインに変更されています。

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夕食は特製御弁当
バブル絶頂期とはいえ、さすがに食堂車でのディナーには手が出ませんでした。大阪発車直後、車内放送で夕食のお弁当の注文を受け付けに係員が車内を回る旨案内がありました。確か1500円だったかと。中身は、カニの甲羅に入ったグラタン以外は印象に残っていません。ただ、注文の受付係は一度しか回って来ず、このチャンスを逃すと悲惨な夕食難民となってしまいます。停車時間の長い駅では食料を求めてホームを走り回る難民たちの姿が見られました。この供食体制も後に改善されたのではないかと思います。

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B個室ツイン
真っ白な車窓からお分かりのとおり翌朝北海道上陸後の一コマです。2段ベッドが設えられただけのシンプルな室内ですが、広さは十分でした。下段寝台はソファ使用時、寝台使用時ともに快適だったように思います。

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食堂車「Diner Pleiades」の朝食予約券
ディナーは無理でも朝食は予算的にも射程距離内ということで前夜に予約をしておきました。洋定食はジュース、ハムエッグ、サラダ、パン、コーヒー。2000円だったかな。雪景色を楽しみながらの朝食は格別でした。これが結果的には私にとって唯一の食堂車での朝食体験となりました。
食堂車は前夜、ディナー終了後のパブタイムにも利用しましたが、アルコールが入ったためか詳しい記憶は残っていません。

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札幌到着前に通路で。
夢の列車ではありますが、内装はアルミ素材剥き出しの建材が目立ちプレハブ然としています。これもリニューアルでかなり見映えが良くなったようです。

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北の都札幌に到着。
雪にもめげず定刻9:02(だったと思う)、高架化成った札幌駅に到着です。学生時代=地平駅時代には何度も訪れた札幌駅の変わり様に驚きました。

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Salon du Nord とともに。
すっかり馴染んだSalon du Nord とも、トワイライトエクスプレスとも名残を惜しみつつお別れです。

20数時間もの長丁場を一時も飽きさせることなく大阪から札幌へと豊かな旅情を惜しみなく提供してくれたトワイライトエクスプレス。その名は、私の記憶にも、日本の鉄道史にも永く刻まれることと信じて止みません。