大阪環状線のイメチェン進行中

行ってみたい、乗ってみたい環状線に

JR西日本では現在「大阪環状線改造プロジェクト」の下、同線のイメージアップ作戦を展開中であります。大阪市の中心部をぐるりと1周する環状線は国鉄時代にも数少ない黒字を計上するなど安定した需要に支えられて来ました。それ故、JR化後も抜本的な改良が行なわれないままでしたが、ここに来て人口の都心回帰が進み、その役割が再認識されることになったのを機に「魅力あふれる大阪環状線」を合い言葉にハード・ソフト両面でのイメージチェンジが進められております。
「大阪環状線改造プロジェクト」については、>>>JR西日本HPへ

◆森ノ宮駅

プロジェクトの一環である駅改良の第1弾として白羽の矢が立てられたのが森ノ宮駅。過去記事「JR西日本の駅名標に新デザイン登場か」でもベールに包まれた新駅名標と思しき画像を掲載しましたが・・・・

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▲黒が基調になった新デザイン

ご覧のとおり、見事にイメージチェンジが図られております。従来のデザインとは白・黒反転した新駅名標は強烈な印象。さらに、各駅乗り換え出口案内、時刻表、路線図、当駅出口案内を下部にまとめた情報集約型とし、それらを黒のパネルで囲んでインパクトを強めております。パネルには「森」をイメージしたと思われる絵柄も入ります。

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▲シンプルな独立型

こちらは独立型の駅名標。階段から離れた天王寺方に設置されているものはこのタイプになっております。周囲が白っぽいだけに、こちらの方が際立って見えるようです。

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▲補助駅名標も

もちろん壁貼り式(補助駅名標)も共通デザインのものに一新されております。

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▲改札内コンコース

改札口とホームを結ぶ通路に設置された行先案内表示も駅名標のデザインに倣い一新されており、特大のサイズも相まって非常に見やすくなっております。
JR西日本が新たに導入を始めた路線記号で大阪環状線を表す「O」も既に表示されております。

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▲遊び心も感じられるデザイン

数字を囲むサークルは環状線の各駅を表しております。必要な情報を提供するとともに遊び心も感じられるデザインです。

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▲JR西日本の新スタンダード

こちらは改札口正面の柱に設置された行先案内表示ですが、大阪駅などに見られる最近のJR西日本のデザインポリシーを踏襲しているようです。

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▲京橋方からは大阪城が

森ノ宮駅ホームの京橋方からは大阪城が見渡せます。・・・・頭上の阪神高速がかなり邪魔ですが。このロケーションを活かしてホーム端部には「城見エリア」と名付けられたスペースが整備されるそうです。
内外装を含めた一連の森ノ宮駅改良工事は2015年春に完了予定です。


◆大阪城公園駅

駅改良第2弾は大阪城公園駅が選ばれたようです。コンコース周りのサインパネルが取り替えられた他、駅名標のパネルも設置されていました。

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▲刷新されたサイン類

デザインはもちろん森ノ宮駅のものと共通ですが、かなり控え目に感じます。橋上駅舎という構造が要因なのでしょうか?

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▲新旧競演

更新作業が進行中とあって、JR化初期のものと思われる青色基調のサインと混在しています。

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▲大阪城のイメージ

駅名標周りのパネルも設置されております。デザインは大阪城と千成瓢箪をモチーフにしているようです。

これらのサインパネルの新デザインは各駅ごとの個性を打ち出すなど、JR西日本の本気度が窺えるものです。ワタシ的には好印象です。しかし、相変わらずラインカラーの打ち出しが弱いですね。
このデザインが環状線だけで完結してしまうのか、アーバンネットワーク、さらには広島シティネットワークにも展開されるのか気になるところではあります。


◆PRでもイメージアップ

ハード面だけに止まらず様々なPRでイメージの向上も図っています。

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▲大阪パワーループ

長らく環状線の顔を務めてきた103系を「環状線から大阪を元気に」をコンセプトにラッピングした「大阪パワーループ」は8人のデザイナーが1両ごとに担当したというド派手なデザインが目を惹きます。
この103系もプロジェクトに従って投入される新型車両に置き換えられることが決まっております。新車は3ドア・ロングシート車になるとの噂が。

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▲イメージキャラも

マスメディアを使ったPRも盛んに行なわれております。イメージキャラクターに抜擢されたのは、大阪出身の女優中条あやみさん。弱冠17才であります。TV CMも注目を集めているとか。

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▲思わず・・・www

忘新年会シーズンを控えて「ぐるなび」とのタイアップ企画も。コンテストで選ばれたというキャッチコピーに思わず笑ってしまいます。


いよいよ本格的に動き出した環状線の改造プロジェクト。2017年度の完了時に環状線がどんな姿に変貌しているのか楽しみですね。

京阪バス「山急」香里園直通便体験乗車

香里園から京都駅・醍醐寺へダイレクトアクセス!

このところの高速道路網整備の進展に伴い大都市圏を中心に近距離高速バス路線が次々に登場しております。わが地元京阪バスもこれを新たな戦略に据え、エリア内に開通した第2京阪道路経由の「直Q京都 松井山手線」「直Q京都 交野・なんば線」を相次いで開設。その様子は当ブログでもご紹介したところです。

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▲社番のHは高速仕様を表す

今回取り上げた「山急」とは山科急行線の略称で京都駅八条口と京都市東部の山科、醍醐地区を阪神高速8号京都線を経由して結ぶ路線です。直Q京都 松井山手線開設の翌年、2010年に登場、平日は醍醐寺の他京都橘大学も主な発着点としております。
この「山急」にも乗ってみたいな、と思っていたところ土曜・休日限定で京阪香里園駅前(始発は新香里バス停)まで延長されているとのこと。これは寝屋川市民としては乗らねばならん! ということで11月半ばの日曜日、香里園駅前を目指したのでありました。

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▲香里園駅前のポスト 直Q京都のPRはあるものの・・・・

香里園直通便のダイヤは香里園駅前発9:23、17:00、醍醐寺発7:30、14:58の2往復。山科営業所の受け持ちです。
さて、朝の便に乗るため私としては異例の早朝出発。秋の行楽シーズンもたけなわとあって途中見掛けたバスも電車も混雑しており、これは下手をすると座席定員制の直通便のこと、積み残しの怖れもあるかなと心配しながら再開発でずいぶん広々と整備された香里園駅前の2番乗り場に発車の10分ほど前に着くと・・・・誰もいません! 乗り場か時間を間違ったかと一瞬背中に汗をかきましたが、間違いはなさそう。さては新香里方面からいっぱい乗って来るのでは、と疑心暗鬼が深まります。

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▲時刻表には臨時便の告知が

ところで、バス停に来て初めて知ったのが臨時便の設定です。8:08発の便が春秋のオンシーズン限定で増発されているようです。この臨時便はNAVITIMEにも対応しておらず、京阪バスHPでも時刻表まで進まねば判らず、知る人ぞ知るだけの存在となっているようです。

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▲側面の行先表示

さて、そんな私を焦らすように発車時刻ギリギリに一般路線車とはデザインの違うワンロマ車が姿を見せました。顔が一般路線車同様の日野ブルーリボンⅡなので、直Q京都の予備車に充てられていた車両が転用されたようです。この希少種に初対面ということもあってテンション急上昇! シャッターを切るも目も当てられないピンボケ状態に。香里園での写真は行先表示だけになってしまいました。

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▲中身は通常の高速仕様

ICOCAをタッチして乗り込むと先客はなんとお一人様。ここから乗ったのも私1人。なんとも寂しい出発となりましたが、第2京阪に乗るまでにもコマメに停車して行くのでまだ乗客は増えるのでは・・・・という淡い期待も虚しく乗車エリア最後のバス停ビバモール寝屋川まで全てのバス停を通過し寝屋川北I.Cから第2京阪に入ります。45席(補助席除く)に対し乗客2名で京都駅前を目指すことになりました。

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▲寝屋川北I.Cから第2京阪道に

第2京阪に入ると、日曜とあって大型車の姿も少なく快適なバスクルージングが始まります。顔は一般路線車でも車内は歴とした高速仕様なので乗り心地も問題ありません。なにしろ空いてますしね。
日頃京阪電車の車窓から見慣れた景色を南東側から視点を変えて眺めるのも楽しいものですな♪

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▲工事が進む八幡JCT

大阪・京都の府境の丘陵地を走っていると突如丘を切り崩し高架橋を建設している工事現場が出現します。どうやら新名神高速の八幡JCTの工事のようです。国の高速道路行政が変る度にゴーが出たり、ストップが掛かったり弄ばれた感のある新名神も今では着々と工事が進み八幡―城陽間は2016年度に開通するそうです。個人的には「まだ造るか!?」という感じですが。

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▲久御山JCT

続いて現れたのは第2京阪と京滋バイパスが交差する久御山JCT。ここのラビリンスのようにもつれ合う高架橋は何時見ても萌えますなあ。ここをグルグル走ってみたいものですが、残念ながら山急は直進するだけです。

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▲巨椋池料金所

久御山の迷路を抜けると巨椋池(おぐらいけ)の関所が待っています。ここで第2京阪道は終わり、料金所を過ぎると阪神高速8号京都線に変ります。当然料金体系も異なるのでしょう。なんだか不合理な気がしますが、高速道路行政もいろいろあるようで・・・・。

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▲近鉄澱川橋梁を遠望

とはいえ高架上からの眺めは抜群で伏見桃山城のニセモノ天守閣の横には近鉄京都線澱川橋梁の巨大なトラスが遠望できます。かなり距離がありますが、存在感は強烈。その大きさをあらためて見せ付けられる思いです。

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▲京都駅八条口はホテル京阪横

阪神高速を鴨川西で降りると河原町通を北上し京都駅八条口を目指しますが、軽く渋滞を喰らって八条口には約3分延の10:11頃着。ここまでなら運賃は700円です。
ここから新たに6名の乗車があり8名乗車となります。とはいえ乗車率でいうと20%弱ですが、車内は俄然活気が出たように感じます。

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▲鴨川を挟んで行ったり来たり

八条口を出ると一旦七条側に抜け塩小路通まで北上、鴨川を渡り、再び南下するというジグザグコースを辿り阪神高速に復帰すべく鴨川東I.C(京阪鳥羽街道駅近く)を目指します。

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▲阪神高速と言いながら京都線とは

ということで再び阪神高速8号京都線に乗るとすぐに稲荷山トンネル(2537m)に突入します。この稲荷山トンネルこそ山急の生みの親と言っても良いでしょう。京都市街と山科盆地をトンネルで短絡したことにより所要時間の大幅な短縮が実現したというわけです。

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▲香里園直通便(左)と通常の山急(右)

山科へ抜け一般道を走りますが、この辺りの地理に疎い私にはどこを走っているのかさっぱりわかりません。バス停の名前から推測する手もありますが、この「直通便」に限っては山科側では大石神社に停車すると後は終点醍醐寺までノンストップ。「旧奈良街道」の標識の出た静かな道に入ると程なくして醍醐寺境内に突っ込み、ほぼ定刻の10:37頃終着醍醐寺に到着、香里園駅前から1時間14分、900円の旅が終ります。


◆決定的なPR不足

それにしても想定外だったのは香里園からの乗客がわずかに2名だったということです。醍醐寺という行先を考えると春のお花見シーズンと並んで秋の紅葉シーズンは書き入れ時、というかこのシーズンで勝負が決まるといっても良いでしょう。その秋期のピーク時にこの実績というのは厳しいものがあります。まさか知る人ぞ知る臨時便が乗客を浚って行ったというのも考え難い話です。
大きな要因はPR不足ではないかと思われます。開設から1年、香里園周辺の人たちにどれだけ認知されているのでしょうか? まず、香里園駅前で「山急」、或いは「醍醐寺」というキーワードが見当たらないのです。バス乗り場案内図はもとより、発着する2番乗り場のポストの行先一覧にすら表示がありませんでした。時刻表に醍醐寺の表記と臨時便告知ステッカーが見られるだけです。これでは毎日このバス停を利用している人すら山急の存在に気付いていないと思われます。ここまで来るとPR不足というより不親切です。山科営業所と香里団地営業所の連係が取れてないのでは?とさえ感じてしまいます。この香里園直通便の設定については元々かなりの冒険ではなかったかと思われますが、最低限度のPR、案内表示はして欲しいと感じました。


◆テーマパーク状態の醍醐寺を散策

さて、何時もの私ならここでさっさと折り返すところですが、流石に世界文化遺産の醍醐寺に背を向けて帰るような罰当たりなことはできません。たまには仏と向き合って穢れた心を清めねばとも思いますし・・・・。

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そんな殊勝な気持ちで拝観料600円を納めて参拝します。紅葉は1週間ほど早いかなという感じ。でも、たまにはこんな非日常空間に身を置くのも良いものだと境内を奥へと進みます。ところが何やらイベントが行なわれているようで、派手なスタッフジャンパーを着た係員が多数待ち受けており、「・・・・に参加しませんか」とか、「醍醐寺クイズです!」とか声を掛けて来ます。仏に親しんでもらおうという意図なのでしょうが、およそ心静かに仏と向き合う環境ではないですな。五重塔まで行ってそそくさと引き返したのでありました。

さて、俗世に戻り今日1日はバス三昧といきましょう。

JR東海訴えられる

新幹線開業50周年に汚点

新幹線鳥飼基地(写真)内での地下水汲み上げを目的とした井戸の掘削をめぐってJR東海と地元摂津市が対立しているという話は過去記事「ただ今調整中」でも触れましたが、摂津市の再三にわたる中止要請を無視してJR東海が工事を強行、遂に摂津市が工事中止を求めてJR東海を提訴する事態に発展してしまいました。




◆ことの成り行き

事件の経緯は以下の通りです。
JR東海は、災害等で水道が途絶した際のバックアップを図るとして鳥飼基地内で井戸の掘削を計画します。ところが、国鉄時代に地下水の汲み上げが原因で周辺で地盤沈下が発生したことがあり、国鉄は摂津市と地下水汲み上げを行わないとする協定を結び、この協定はJRにも引き継がれます。当然摂津市は協定を盾に計画中止を申し入れます。対する東海は、井戸の地点は茨木市域にあり摂津市との協定は効力が及ばないとして申し入れを無視、工事を強行します。


◆信じられないJR東海の態度

市の境界を根拠にした東海の主張は一見妥当に見えますが、鳥飼基地の敷地は97%が摂津市に属し、茨木市域は僅か3%に過ぎません。「そうだ、茨木に掘ろう」ということになったのかも知れませんが、例え井戸の位置が茨木市にあろうと地下水汲み上げで影響が出れば摂津市域にまで波及するのは必至でしょう。摂津市が主張する「協定は基地全域が対象」という見解は妥当だと思います。市域を云々する東海の言い分は協定の主旨を無視したものと言えるでしょう。あくまでも市域に拘るのなら、茨木市に井戸を掘るのは認めるが、摂津市域の地下水には一切手を付けるなと言ってやれば良いでしょう。
一方で東海は、計画範囲内での汲み上げでは地盤沈下は起こらないとも主張します。この主張を裏付ける有識者の意見もあり、さらには適度な汲み上げは地震発生時の液状化緩和にもなるという主張もあります。ならばこうした意見を提示し、摂津市と事前に協議を行うのがスジというものです。ところが今回東海は全て抜き打ち的に強行し、市長の面会要請も無視しているそうです。
そんな東海がメディアの取材を受ける度に口にするのが「当社は東海道新幹線の運行という重責を担っており…」という台詞。我々は大事な仕事をしているので沿線の一自治体ごときが口を出すなと言わんばかりの傲慢な姿勢を感じます。重責を担う企業にはそれなりの振る舞いが求められるはずです。しかし、今回の東海の一連の態度を見ていると同社の企業体質、コンプライアンスにも疑問を感じてしまいます。やっぱり社是は「唯我独尊」なのかな…。


◆JR東海の目的は?

地元自治体の抗議に耳も貸さずひたすら地下水汲み上げに突っ走る東海。この問題は関西では連日報じられており、東海の企業イメージに対するダメージも少なくないはずです。こうまでして井戸掘りに拘る東海の目的は何なのでしょう? まさか水道代の節約なんてことはないと思いますが…。